一般公募の2次募集が行われている「ものづくり補助金」ですが、その2次募集スケジュール中に「新型コロナウィルス対応の特別枠」が新しく設けられました。2次公募スケジュール中に、特別枠も並行して設定するということになります。
目次
変更点1:ものづくり補助金2次公募・新型コロナ特別枠のスケジュール
【2次公募スケジュール】(特別枠も並行してこの日程)
- 公募開始:令和2年3月31日(火)17時~
- 申請受付:令和2年4月20日(月)17時~
- 応募締切:令和2年5月20日(水)17時~(2次締切)
なお、1次締切で不採用だった場合、事務局に1次の辞退を申し出ることで、2次締切で特別枠への申請が可能になります。この2次公募締切後も、申請の受付自体は継続して行われます。公式のPDF(上図)の1と2にあるように、通年で申請可能になったこと、事業実施期間が10ヶ月に伸びたことはかなり大きな変更点です。
公募要項によると、令和2年度内には、8月(3次)、11月(4次)、令和3年2月(5次)と3ヶ月毎に締切が設けられますが、締め切られたから、といって以後の申請ができないわけではありません。締切月末に採択が行われるので、申請のタイミングによって採択時期が決まる、事業期間内であれば大丈夫、という理解でよいでしょう。



変更2 新型コロナ特別枠と事前着手の承認申請
新型コロナウィルス対応のための特別枠には、事前着手の承認申請というものがあり、2次公募のスケジュールのなかで、以下の期限が設定されています。
- 令和2年3月31日(火)~ 令和2年5月7日(木)17時
通常「補助金正式に出しますよ」という決定前に設備を買うと対象になりません。ですが、今回は公募要項に例外が書かれています。事前着手するために、承認申請をするのが前提になりますし、ものづくり補助金の電子申請より先に、事前着手の申請を出すことが必要です。
今般の新型コロナウィルスが、幅広い中小企業・小規模事業者等の事業活動に影響を与えていることに鑑み、こうした影響を乗り越えるために必要不可欠な緊急の設備・システム投資等であると認められる場合に限り、補助金交付決定前であっても、事務局から事前着手の承認を受けた日以降に発注・購入・契約等を行った事業に要する費用を特例として対象とする。
▼特別枠の優遇措置(なにが特別なのか?)
- 補助率が1/2 → 2/3 にあがる
- 特別枠不採択でも通常枠で加点され、優先採択される
- 補助対象の遡及適用
- 特別枠では、付加価値向上・賃上げ達成年限が1年猶予
▼特別枠独自の要件
補助対象経費の6分の1以上が、以下の要件に合致する投資であること
■ サプライチェーンの毀損への対応
例)部品が調達困難になったため、部品を自社で作った。出荷先の営業停止に伴って新規顧客を開拓等
■非対面ビジネスモデルへの転換
例)店舗販売からEC販売へ。デリバリーを用いた料理の提供
■テレワーク環境の整備
例)Web会議システムの導入、開発
変更点3:賃上げ要件と収益免除制度が追加

申請時点で、上図の3つのいずれも満たす3~5年の事業計画を作って、従業員に表明しなければなりません。今回の添付書類の中に「賃金引き上げ計画を従業員に表明したことを示す書類」が含まれています。従業員代表者(給与・経理担当・事務所内最低賃金で働く従業員等を含む)が賃上げに合意していることがわかること、と公募要項にはあります。単に書面のやりとりで終わらせるのではなくて、事業に従業員をコミットさせる、という意味合いが含まれています。
きちんと数値的なシミュレーションをして、ペナルティを受けないように事業計画を練る必要がある、というわけです。ただし、目標額に届かなかった場合は、救済措置もあります。

※特別枠の場合は、初年度は賃上げ要件を猶予し、翌年度から賃上げ要件が加わるような事業計画でよい、と緩和がされています。特別枠だからといって賃上げ要件がないわけではありません。
収益納付とは?(公募要項p16)
ものづくり補助金を得て行った事業に収益が認められる場合は、受領した補助金額を上限として、国庫に返納してもらう、という制度です。会社の決算が赤字か黒字かは関係なく、あくまでも「(事業計画書に書いた)補助を受ける事業」を基準に、赤字なら返納しない、黒字なら儲けの一部又は全部を返納してもらうという仕組みです。
収益納付の免除(今回の新規追加)
せっかく収益化した補助事業の利益が、収益納付によってもっていかれてしまうのでは、事業者の意欲を削いでしまうだろう、との観点から、賃上げのインセンティブとして、補助事業を通じて十分な賃上げをした場合は、収益納付は免除になります。
- 年率平均3%以上給与支給総額を増額させた場合
- 事業所内の最低賃金を地域の最低賃金+90円以上の水準にする
変更点4 電子手続き必須(例外あり)
申請の前準備として「GビズプライムID」を取得しなければなりません。
- 法務局で印鑑証明書を取得
- 公式サイトから「GビズプライムID作成」ボタンをクリック
- 必要事項を入力して申請書を印刷
- 印刷した申請書に実印を押して、印鑑証明書とともに郵送
変更点5 申請に必要な書類の削減
従前のものづくり補助金では、提出する必須資料が最大で16点、必須6点でしたが、今回から必須3点、最大8点と半分になりました。申請難易度は易化傾向になったかと思います。また、認定経営革新等支援機関の確認書添付が不要になりました。
必須の3点セットだけでも申請はできますが、成長性加点、政策加点、災害等加点、賃上げ加点の4つの加点があり、それぞれのエビデンス(証拠)として追加の添付書類が求められている、という理解でよいでしょう。それぞれの加点基準についても公募要項p19で述べられています。
【必須3点セット】
- 事業計画書
- 賃上げ引き上げ計画の表明書
- 決算書 ※直近2年間の貸借対照表、損益計算書等です。
事業計画書
A4サイズで10ページ、様式は自由です。内容としては、ものづくり補助金の趣旨に合わせ公募要項の審査項目(P19)をよく読んで作る必要があります。もっともハードルになりうるのが「補助事業に革新性があるか」という点です。「革新性」について2つの基準が示されています。中小サービス事業者の生産性向上のガイドライン、中小企業の特定ものづくり基盤技術の高度化に関する指針(下記埋め込みリンク)に沿っていることが大切です。
「革新性」とはなにか?
- 既存技術の転用による革新的開発…自社内で今まで培ってきた技術を他の分野に転用し、商品やサービスの開発につなげることです。製薬会社が化粧品を造る、といった例がわかりやすいでしょう。
- 隠れた価値の発掘…顧客から隠れたニーズや課題を拾い出して、設備投資によって新しいサービスを開発することを期待されています。例えば、サッカー観戦に来る顧客のニーズを「一緒に仲間と集まって楽しみたい」というニーズに焦点を当て、スタジアム内にオープンテラスを作る、という取組があたります。
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